真言宗智山派 柏尾山 大善寺
文化財・寺宝
国宝 本 堂 ~薬師堂~
本堂
本堂の中に薬師三尊像を安置していることから「薬師堂」とも呼ばれています。
弘安9年3月16日(1286)の刻銘があり、元寇(弘安の役)の数年後に建てられ、築730年以上になる関東周辺で最も古い木造建造物です。
大きさは24m四方で、幅広の縁側が四周を取り巻いています。流麗な線を持つ檜皮葺き(ひわだぶき)の屋根は落ち着きを見せ、鎌倉時代の建築の力強さがよく現れています。内部は内陣と下陣に分かれ、内陣には須弥壇(しゅみだん)を設けて厨子(ずし)を置き、薬師如来をお祀りしています。

国重要文化財 木造薬師如来及両脇侍像
薬師如来 月光菩薩 日光菩薩
薬師如来像 月光菩薩像 日光菩薩像
当山のご本尊である薬師如来像を中心に日光菩薩像、月光菩薩像を配しています。
薬師如来像は、大きめの頭部に対して両脚部は幅を狭く表し、太い両腕を体部に引き付けた力のこもったお姿をしています。
日光菩薩像、月光菩薩像は、体躯に均整がとれ、引き締まった身体は薄い衣を通して充実した量感で、お顔は丸顔で頬がふっくらとし、大きく弧を描く眉と切れ長の目に対して口は小さめです。
平安時代初期の制作で、三像ともにサクラ材の一木造です。
秘仏として本堂内の厨子の中に納められ、通常は拝むことは出来ませんが、五年に一度御開帳されます。

国重要文化財 木造十二神将立像と木造日光月光菩薩立像
月光菩薩 日光菩薩
十二神将と月光菩薩像 十二神将と日光菩薩像
十二神将は十二夜叉大将ともいい、それぞれ七千の夜叉を率いて薬師を敬うものを護るとされる薬師如来の眷属(けんぞく:侍者、従者、随伴者、取り巻きの者のこと)です。
鎌倉時代に造られ、像高145.9~138.2cm、ヒノキ材の一木造及び寄木造で、玉眼がはめ込まれています。
各像はがっしりとした体躯に甲冑を着け、さまざまに武器を執っています。大きく口を開くもの、固く口を引き結ぶもの、目を思い切り見開くものなど、それぞれに個性的です。

日光菩薩立像と月光菩薩立像は、十二神将立像と同じく、鎌倉時代、仏師蓮慶により制作されたとされています。日光、月光菩薩像は、薬師如来像の脇侍として造立されることが多いことや本像の大きさから、本来は当寺文書に文永7年(1270)、堂とともに炎上したと記される「新仏丈六」の脇侍像であったと考えられています。ヒノキ材の寄木造で、両目には鎌倉時代以降通例となった水晶製の玉眼がはめ込まれています。